「アメリカの名作住宅に暮らす」(田中厚子・著 村角創一・写真 建築資料研究社 定価 本体¥2,400+税)は、アメリカで今も使われている名作住宅を訪ね、レポートした一冊だ。建ってから数十年経ち、持ち主や住み手が変わってしまっている住宅も多いが、どの家も美しく「継続」されている。
そこに見い出せるのは、住み手の住宅の対する深い理解と愛着である。
大きな家も小さな家もある。それぞれに管理やメインテナンスには大変な労力と費用がかることは予想に難くない。しかし、ここに登場する住み手は、みなそのことを歓びとして受け入れているように見える。
住宅はどれも時間と風格が備わり、美しい。数十年前、建築家と建て主の思いが寄り添い、出来上がった建築は、今の住み手によって大切に継承されている。
住宅と生活ーーそれが切り離せないものであることを、改めて感じる一冊だ。