藤田先生は、モダンリビング182号のウィリアム・モリス特集でも監修をして頂いた、モリスおよびアーツ&クラフト研究の第一人者。取材の時にも2時間ほど、直接、お話を伺わせていただいたのだが、さらにいろいろお聞きできるのが楽しみで、「コウちゃん」「ナナ」の三人で、ワクワクしながら受講した。
この日の講義は休憩を挟んで、4時間!! モリスの人と仕事、周囲の人々との関係・・・など、前半の2時間では収まらず、さらに後半へ。父親の遺産で、モリスが思っていた以上に資産家だったことや、ラファエル前派からホガースクラブ、モリス・マーシャル・フォークナー商会へのつながりなど、今まで知らなかったことが生き生きと語られ、引き込まれてしまう。
後半はさらに、イギリスで起こったアーツ&クラフツ運動とフランスの印象派から始まる絵画の反アカデミズムの流れが、他のヨーロッバ地域へ、さらにはアメリカへ、どのように広がっていったのかという話につながっていく。その流れの中で、マッキントッシュ、フランク・ロイド・ライト、バウハウス・・・といった、建築・デザインのことも語られた。
イギリスのアーツ&クラフツは芸術の枠組みそのものを変える運動、フランスの印象派は絵画という枠内の表現上の革新運動、という捉え方がとても新鮮だった。
自分の中で、今まで点で存在していた事柄が、ビーズを糸でつなぎ合わせたように、ひとつの形になっていく。
本当に貴重で、密度の濃い、素晴らしい「知の歓び」の時間だった。
写真は、藤田治彦先生の新刊本「ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ」(東京美術 ¥1,600)。美しい豊富な写真、図録とともに、わかりやすく語られている。
この日の講義の内容は、この本で体験できます!!

藤田先生の本を読んでから東京都美術館の「アーツ&クラフト展」へ行くことをお勧めします。(写真は展覧会のチラシ)
