先日事務所に来たDMに目を通していたら、我が目をうたがう葉書がありました。

知る人ぞ知る、心斎橋のショットバー・キャビーナと言えば、まさにシモジイの飲酒の原点。ここからバーという趣味に足を踏み込んだと言ってもよいぐらい、お世話になっているところです。
思えば最初に足を踏み入れたのは17年前、薄利な写真家稼業、当時とても高いチャージをとるバーなどへは、足を運べませんでした・・・。

道頓堀川を横目で見ながら、御堂筋を北に上がると、シャネル、ヴィトン、ポンテヴェキオといったブランドが陣取る、黄金の交差点があります。

この交差点に、30年もの間堂々と営業していらっしゃる喫茶店サザンクロス。上のでっかい電飾が目印。関西人でなくても、ご存じの方が多いのではないでしょうか。

そのサザンクロスの地下に、ショットバー・キャビーナはあります。ファサード&インテリアは航海時代の船舶をイメージしたもの。左手の小さな入り口より地下に下って行きます。
入り口は人の背丈よりもずいぶん低く、シモジイも初めて入るまでには何度も躊躇しました。

狭い階段を下りると、そこは船内にあるパブのよう。いつも笑顔のチーフバーテンダー、ケンちゃんが迎えてくれます。
ハタチで入ったケンちゃんも、もう33歳。そうか・・・そんなに時がたったんだ。色々世話になったね!

キャビーナ名物のラムトニック。ここのラムトニックを飲まずに死ねるか!!(古)というほど美味です。
秘密はこれ・・・

ベースになるラム酒に、グレープフルーツの皮とキュウリを漬け込んでいます。フレッシュライムをギューッと絞って、トニックウォーターを注ぎ込み、軽くステア。ラムトニック「船乗り風」のできあがり、鈴のカップでいただきます。
さっぱりして癖のない飲み口、ほのかな甘みについついおかわりしてしまう・・一日の疲れを癒す、最高の1杯です。

やはり10年選手の常連、ディーバさん(元イラン人)。突然の閉店の知らせに、悲しみを分かち合いました。
狭いキャビンはいつも満席状態、袖すりあえば友達。異業種、異人種、見ず知らずが、肩寄せ合って酔っぱらい、語り合う。
そんな素敵なバーライフをシモジイに教えてくれたショットバー・キャビーナ・・それがなくなるとは・・。帰り間際、深々とお辞儀するケンちゃんの目は潤んでいました・・・また逢えるよ。

2009年3月22日、ショットバー・キャビーナのキャプテンとクルー達は、その長い船旅を静かに終えました。