16組のクリエーターがガラスという素材に挑む。杉本博司さんの砕いたガラスの壁のオブジェ、アシハラヒロコさんの夏に欲しいガラスの花活け、吉岡徳仁さんの氷の結晶のようなベンチ、トラフのガラスの椅子・・・どれもそれぞれの方たちらしく、印象的だった。
そんな中に、MLでも藤森照信さんの撮影などでいつもご一緒していただいている、写真家・藤塚光政さんの弾が突き刺さったガラスの板があった。弾から放射線状に伸びたひびに光が走る。それがとても美しい。添えられた藤塚さんの文章が胸に残った。ガラスはもろく、はかなく、だからこそ割れていないガラスは、平和の象徴なのだと。
「緑とガラスが彩なす都市は、安寧の象徴です。
バクダッドを見てもカブールをみても、
テロの激しいほど都市には木々もガラスも見えません」
と藤塚さんはコメントをくださった。
倉俣史朗さんは、ガラスは割れる瞬間が美しいんだ、と語ったそうだ。
藤塚さんは倉俣史朗さんと親交があり、多くの写真を撮っていた。倉俣さんとの出会いがどれほど大きく、そしてまた素晴らしいものだったかーーそれは、以前、藤塚さんがご自分の個展のために書かれた文章に見ることができる。みんなそれぞれ、自分の倉俣史朗をもっていた・・・・と。
三保谷硝子と倉俣史朗さんの関係は深い。倉俣さんの有名な「硝子の椅子」も、三保谷硝子三代目、三保谷友彦氏との出会いと職人の優れた技術が生んだ。
その倉俣さんのアクリルの椅子を、ガラスで再現した作品が、今回出展されている。座る部分が緩やかなカーブを描くフォルムは、ガラスという固い物質とは到底思えない。その圧倒的なまでの美しさと完成度に、「倉俣史朗のデザイン」の力と存在感を感ぜずにはいられなかった。
見るべき展覧会のひとつである。
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<展覧会リリースより>
国産のガラスが産声を上げて間もない1909年(明治42)に創業した三保谷硝子店は今年100周年を迎えた。その家業が大きな転機を迎えるのは1970年代、三代目三保谷友彦と鬼才倉俣史朗氏との出会いからである。ここから三保谷硝子は、「デザイン」の領域へと大きくシフトしていく。以後、あの名作「硝子の椅子」をはじめ、溢れる倉俣のインスピレーションを独自の技術力で具現化し支え続けた。それは単なるデザイナーと職人の出会いや、単なる素材としてのガラスという次元を超えて、デザインとガラスの関係を新たな地平へと切り開き、ガラスそのものが表現媒体となる「ガラス・デザイン」という新たなデザイン概念を創出したと言っても過言ではない。
本展は、そうして培われた三保谷硝子の技術力を駆使して、三保谷の心意気に心酔する16組のクリエイターたちが「ガラス・デザイン」の新たな表現に挑む試作展である。
参加クリエイター(五十音順)
アシハラヒロコ/五十嵐久枝/海藤春樹/川上元美/杉本貴志/杉本博司/高松 伸/トラフ建築設計事務所/橋本夕紀夫/廣村正彰/藤塚光政/堀木エリ子/宮島達男/八木 保/山田尚弘/吉岡徳仁
期間 2009年10月27日(火) ~ 11月8日(日)
時間 11:00 ~ 19:00 (最終日は17:00まで)
会場 アクシスギャラリー
三保谷友彦氏(三保谷硝子店3代目)によるギャラリートーク
日時:11月7日(土)第1回 12:30~、第2回 18:30~(各30分程度)
会場:AXISギャラリー(本展会場)
お申し込み:不要(会場へ直接お越しください)
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アクシスギャラリーの前で。

吉岡徳仁さんの作品の制作過程。

杉本博司さんの作品の制作過程。
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モダンリビングの連載「見えていないデザイン」が1冊の本になりました。
著:深澤直人 写真:藤井保
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THE OUTLINE 見えていない輪郭
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