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編集長日記ー日本画の奥深さ/ 下田
 鏑木清方(かぶらききよかた)をご存知ですか?

 明日からサントリー美術館で開催される、「清方ノスタルジア」のプレビューに行った。実際の日本画は目にする機会が限られるだけに、じっくりと見たかった。

 まず、美人画の臈長けた美しさに引きつけられた。日本画には影がない。平面の表現なのに、奥行きが感じられるのは、なぜだろう。ふと、藤井保さんの写真と通じるものを感じた。

 日本髪の立体感、生え際のぼかし、肌の血色、けぶる目元・・・その繊細なディテールは、見れば見るほど深い。ひとつひとつていねいに描かれた着物の柄、帯の織には、ため息しか出ない。

 屏風、掛け軸という形にも、改めてその利便性とインテリアとしての巧みさを思う。日本は、古来、室内装飾に関してなんと深い洞察と感性をもっていたのか、と。

 掛け軸の表装の生地の取り合わせは、本当に見事だ。どうしたらこの組み合わせが思いつくのだろう。繰り返しや、反対色、同系色といった色のコーディネイトのセオリーでは、到底思いつかない組み合わせばかり。着物の色合わせにも通じる、感覚の世界なのだろうか。

 普段、親しむ機会がないからこそ、発見があるーーそんな日本画の名品だ。

<展覧会案内より>
鏑木清方(かぶらききよかた)(1878~1972)は、明治から昭和という激動の時代にあって、人々の暮らしに残る江戸情緒に美を見出し、近代日本画に独自の画境を開きました。また、清方は伝統的な日本美術に親しみ、自身の作品に反映させています。本展では、清方にとってのノスタルジア―古きよきものへの憧憬―に焦点をあて、清方芸術の魅力を探ります。清方の代表作はもちろん、初公開となる清方作品や清方旧蔵の肉筆浮世絵なども出品されます。

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<以下、鏑木清方の展覧会図録より>
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| by modernliving | 2009-11-17 23:17 | 下田