原宿の駅と、大鳥居の間を仕切るのは、大きな木だ。本当に衝立てのように、木を挟んでまったく景色が変わってしまう。木のパーティション効果がはっきりと感じられる場所。
ここの鳥居は、日本一の木造鳥居だそうだ。その鳥居の向かいに「森のカフェ」がある。この「森のカフェ」、経営は明治神宮。レシートにはいかめしい名前が書いてあった。屋外カフェは、原宿や表参道にはたくさんあるけれど、こんなにたくさんの木々に囲まれ、木漏れ日のなかでお茶を飲めるところは多くない。手軽でカジュアルな感じもいい。
内・外苑の森は、神宮御鎮座にあたって全国から献木されたおよそ10万本、365種の人工林だという。面積は70万平方メートル。人が人の手でつくった杜。それが都心の真ん中にあることの素晴らしさ。
建築家の中村拓志さんは、自分が設計した建物の敷地に大きな木を植えることを、クライアントにすすめているそうだ。大きな木が1本あるだけで、どれほど豊かな暮らしができるか、この森のカフェにいると、それがわかる気がする。


