
これは私が自宅で使っているお椀です。
普通のお椀より少し大きく厚手で、まあるい形。
遠州形といい,飯椀ですが,私はご飯にもお味噌汁にも煮物にも
その時々で自由に使っています。
このお椀を買ったのは,25年くらい前のこと。
当時私は,料理本の編集をしていて,撮影に行ったお料理の先生のところで
本物のお椀の良さを知りました。
熱い汁ものを入れても,手が熱くない。
口当たりがいい。軽い。
日頃の手入れも,普通にスポンジで洗うだけ。
難しいことは何もないのだと教えて頂きました。
むしろ使わずにしまっておくと,乾燥していたみやすいということも。
お正月を前にして,思い切って本物のお椀を買おうと思い,
輪島塗のお店,大向高州堂でこのお椀を買いました。
当時,一客15000円でした。
当時の私にはとても高価な器でしたが,
でも,そのときお店にあった品の中でいちばん安いお椀だったのです。
それからほとんど毎日のように使ってきました。
ていねいに使っていたつもりでも,知らず知らず小さな傷がついていました。
漆器は修理がきく、ということもお料理の先生に教えてもらったことです。
大向高州堂に問い合わせたら,快く引き受けてくださいました。
「3ヶ月ほどお時間をください。
きれいに使ってくださっているので,塗り直せば新品同様になります」
とのこと。
1客4000円ほどだそうです。
25年間使って,4000円で新品に戻るなんて
すごいことだと思いませんか?
お椀がきれいになって、戻ってくるのを
今からとても楽しみにしています。

こんなふうに、小さく漆が欠けた部分もできていました。