海外の取材は、失敗が許されない、かなりプレッシャーがかかる仕事です。同時に、写真家という職業を深く考える、いい機会であったりもします。

なぜ、写真家という道を選んだのか?とよく人に聞かれます。
実はシモジイは、ちゃんとした写真の教育を受けていません。若い頃に喰うに困って、日銭がもらえるカメラマンのアシスタントをしたのが、きっかけでした。その後、暗黒の貧乏写真業ぐらしが10年あまり・・・10年後にやっと人並みな生活ができるようになりました。それ以来、毎日転職を考えてはいるんですが(笑)、もうこの業界に入って20年以上メシを食ってるってことは、自分に合った職業であるような気もしてきました。
そんなタタキ上げ感ぶりぶりの経歴なので、皆様が想像する写真家チックな一面は、あまり持ち合わせておりません。いわゆる作品撮りなどの作家活動もせず、興味がないので学歴も受賞歴もナシ、カメラ嫌いなので休日は写真とはなるべく無関係でいたいという、変わり者なのです。「好きなことを、職業に出来ていいですね〜」なんてよく言われますが、もともと好きで入った業界ではないので、いつも返答に困ってしまいます。有名になりたいとか、自分勝手な作品を人に見てもらいたいとか言う気持ちはほとんどなくて、アシスタントにあきれられたり・・・そんな、へんな写真家のシモジイですが、自分の職業の重みというか意味が最近わかってきた様な気がします・・・。

カメラと被写体が出来ることは情報の伝達だけですが、写真家が出来ることは見る人にイマジネーションを与えるということです。それが出来なければ、誰でもデジカメで撮れる時代、写真家という職業自体意味がなくなります。
写真を見てイマジネーションをふくらませ、少しでもごらんいただいている人の心にプラスの要素が注入できたら、そんな嬉しいことはありません。本当の意味での「空気を読む(撮る)」ことができるためには、スキルはもちろん、感覚も常に磨いていなければなりませんが・・・そして、ほんの少しのラッキーと。
モダンリビングのページを開くたびに、皆様の心の中に「いいね!」が一つでも多くなるように頑張っていきたいと思います。今後とも、よろしくお願い申し上げます!
