
このポスターに使われている「海の幸」という作品が有名です。
これ,実際に見るととても大きい。
そして,荒々しさが勢いとなって迫ってきます。
未完成とも見えるほどですが,そこがこの作品の魅力にもなっています。
でも,私が最も心惹かれたのは、青木繁のもうひとつの
重要文化財に指定されている作品です。
タイトルは「わだつみのいろこの宮」。
「わだつみ」とは綿津見神,つまり海の神のこと。
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わだつみのいろこの宮 明治40年(1907)
重要文化財
石橋財団・石橋美術館所蔵
「古事記」上巻の綿津見の宮の物語を題材とした作品です。
兄の海幸彦からかりた釣り針をなくした山幸彦が、
釣り針を探して海底にある「魚鱗(いろこ)の如く造れる」宮殿
へとくだり、画面向かって左のトヨタマヒメ(豊玉毘売)と
その侍女に出会う場面が書かれています。
青木にとって記紀の神話は重要な着想現でした。
「読む・石橋美術館」(石橋財団石橋美術館・発行)より転載 -
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この不思議な美しさの前に,立ち止らずにはいられませんでした。
イギリスのテイト・ブリテンやアメリカのウィンスロップ・コレクションにある,
ウィクトリアン後期の画家,エドワーズ・パーンジョーンズを
彷彿とさせる等身大の女神です。
泡立つ水の表現に、つかの間,現実を忘れました。
28歳で夭折した青木繁は,どんな思いでこの絵を描いたのでしょうか?